手術前の呼吸リハ

手術前に呼吸リハビリを行うことで、手術後の呼吸合併症を予防することができます。

ほとんどの手術では、全身麻酔を使用し、人工呼吸器の管を口から挿入します。 この管が気管支を刺激し、さらに麻酔の影響で痰の分泌が増加します。 また、全身麻酔から覚めた後は、呼吸が浅くなり、術後の痛みによって深呼吸がしづらくなります。 そのうえ、仰向けで寝ていると痰が気道の下部に溜まりやすくなります。

痰が細かい気管支を詰まらせると、肺がしぼんでしまう「無気肺」の状態になることがあり、これが肺炎の原因となることもあります。 特に、もともと呼吸器疾患がある方、喫煙歴のある方、肥満や高齢の方は、これらのリスクが高くなります。

そのため、手術前に呼吸機能を向上させ手術後に楽に呼吸をし、効率よく痰を排出できるようにするための呼吸訓練を行います。 手術前後の呼吸訓練は、肺合併症の予防に効果があります。

当院では、手術前の呼吸リハビリが必要な患者さんに対し、入院・外来にて呼吸リハビリを提供しています。 術前呼吸リハビリのパンフレットを配布し、呼吸練習の指導を行っています。

当院のリハビリテーション科には、7名の呼吸療法認定士が在籍しており、呼吸器疾患の患者さんの治療をサポートしています。

【呼吸療法認定士とは】
呼吸療法認定士は、「3学会合同呼吸療法認定士」の認定試験に合格し、呼吸に関する専門知識を有する医療職です。